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日本にあるFootballを探す旅

「障がいの壁を壊す史上最強スポーツ」ブラインドサッカー・日本選手権

ブラインドサッカー」と聞くと、あなたは何をイメージするだろうか。「障がい者スポーツ」「目が見えない人がするサッカー」もしかしたら「知らない」という人も多いのではないだろうか。

ブラインドサッカー」=「Blind soccer」

「soccer」はそのままサッカーを意味するが、「Blind」とは「目が見えない」「見えない」といった、一見ネガティブなイメージが付いてしまう。確かに「ブラインドサッカー」とは、「視覚障がい者のサッカー」なのだが、実は障がいという壁を無くし、誰もが楽しむことができるスポーツなのである。

 

そもそも

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ブラインドサッカーは、5対5で行うフットサルのようなスポーツだ。視覚障がい者向けのスポーツのため、ボールには鈴が入っており、その音を頼りにプレーする。フィールドプレーヤー4人は、条件をそろえるためにアイマスクを付け、GKは目の見える人や弱視の人が務める。また、タッチラインは無く、代わりに壁があるのでスローインやキックインと言ったものはない。他にも細かいルールの違いはあるが、手でボールを扱ってはいけないなど基本的な部分はサッカーやフットサルと変わらない。

 

健常者と共に

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プレーできるのが、このブラインドサッカーのもう一つの特徴だろう。プレーヤーが「音」の他にもう一つ頼りにするものがある。それは、「声」だ。

ブラインドサッカーでは、音が重要な役目を果たすため、試合中は観客を含めて基本的に声援を送ることはできない。しかし、チームで唯一声を出すことが許される人がいる。それは、目の見える人たちが務める、監督、GKそしてコーラー(相手のゴール裏で指示を出し、味方をゴールまで導く)だ。プレーヤーは、「音」そして彼らの「声(コーチング)」を頼りにプレーする。

 

「サッカーに比べて、伝える情報量が多い。今まで(サッカーの時)は、分かっていて当たり前のことが、みんなわからないんですから。だから、始めて試合に入ったときは混乱しました。プレーヤーの人にも色々要求されちゃって。でも、それから相手が何を欲しがっているのか考えるようになったんです。今どんな情報をもらいたいのか、(僕に)どうしてもらいたいのかって。変な感じですけど、もうその人になり切ってプレーしているような感覚ですよね。」

元々サッカーでGKをやっていた彼は、ブラインドサッカーの難しさをこう語った。 

 

プレーヤーの目となり、必要な情報を伝えることが、ブラインドサッカーでは勝利のカギとなる。そしてそれは、健常者も障がい者も一体となって勝利を目指し戦う、ブラインドサッカーの素晴らしさを教えてくれる。

 

障がいの壁はそこにはない

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ブラインドサッカーパラリンピック競技であり、GKを除くすべてのプレーヤーに視覚障がいがある。でも、実は日本でのブラインドサッカーは、アイマスクを装着すれば誰でもプレーすることができる。そのため、今回行われたブラインドサッカー日本選手権では、多くのチームに健常者の方も所属し、プレーヤーとして活躍した。ピッチに立てば健常者も障がい者も関係なく、どのプレーヤーにも同じ条件が与えられ、フェアに戦うことができるのだ。だからこそ、ピッチの上ではお互いに激しく言い合う場面も見かける。今まで、こうしたスポーツに出会ったことがなかった。もうそこには障がいの壁はない。

※国際大会では、晴眼者はプレーできない(GKを除く)。

 

最後に

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そもそも「障がい者」という括りがあまり好きではない。大学時代に特別支援学校へ行く機会があり、その時の言葉があるからだ。

「障がいと言うけれども、怪我をしている人、視力が悪い人・・・誰もが自分の生活の中で不自由を感じるところを持っているはずです。でも私たちは、気が付かないうちにそれを補いながら、助け合いながら生活しています。だから、それと同じように不自由を感じているときにだけ手を差し伸べて下さい。彼らも私たちと一緒です。」

ブラインドサッカーはこの言葉を思い返させてくれるスポーツだった。どこかで障がいがあるからと、気を遣ってしまうことはないだろうか。それは、当たり前のようで当たり前ではないような気がする。「障がい」という言葉に、私たちが壁を作ってしまっているからだ。障がい者と健常者の壁を壊し、一人のスポーツマンとして戦うことのできるブラインドサッカーは、その変な価値観を忘れさせてくれる。まだ観戦したことがない人はぜひ観に行ってもらいたい。きっと自分の想像を超える世界が待っているはずだ。

 

                 (2016.7.9~10 ブラインドサッカー日本選手権)

日本ブラインドサッカー協会HP

www.b-soccer.jp

 

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